はじめに
CLECOOLⅢの本体に触れてみると排熱ダクトと同様に熱を持つ部分があることを前回の記事で書きました。
エアコンの室外機にあたる熱交換器の部分でした。
送風の音も結構気になります。
せっかく冷気が出てもCLECOOLⅢ本体からの発熱があればその分冷房効果は下がってしまいます。
みなさん そんな時はどうしますか?
この記事ではCLECOOLⅢ本体からの熱をさえぎる工夫をしてみたことをご紹介します。
発熱箇所はどこかサーモカメラで見てみる
前回、手で触れて熱かった赤枠あたりは、エアコンだと室外機の熱交換器になる部分です。
冷たかった青枠あたりは、エアコンだと室内機の熱交換器になる部分です。
手で触れてみて感じた温度が実際にはどうなのかサーモカメラで検証してみましょう。
冷房運転中のサーモグラフが以下になります。
左上の熱交換器の箇所は手で触れてみたとおり熱を帯びていまいます
他に熱交換器あたりの本体上部が35.9℃です。
他に熱を持っている部分の、排熱ダクト接続箇所付近が36.3℃です。
車内の空気で熱交換器を冷やし、その分熱くなった空気を車外に排気するための送風機がこの位置についています。
写真の左側が熱くなる熱交換器で、真ん中が送風機、右が冷風を作る熱交換機です。
その下にコンプレッサーがあります。
右下のコンプレッサー設置個所あたりも30.6℃と熱を持っています。
概ね当初想定した場所が熱を発生するパーツが組み込まれているところでした。
これらの本体から出る熱の発散を低減させることは、車内を冷やすことに反して暖めることになりますので、冷房効率が下がる要因だと考えました。
特に熱交換器部分の発熱をさえぎることは、冷房効率を上げるのに効果があることでしょう。
エアコンの室内機の熱交換器にあたる場所は冷たくなっているので、そのままで車内を冷やす効果も多少はあるかと思われますので、このままでよいことにします。
発熱をさえぎる素材はこれ
発熱部分の熱を遮断できるような遮熱素材をみつけてきました。
エプトシーラー EE-1000 10mm厚 :日東電工
車のドアの内側に貼ってビビリ音などの対策を行い音楽の音質を良くするデッドニングなどに利用される吸音材です。
エプトシーラーがどんなものかはメーカーWEBに以下と書かれています。
あらゆる間を埋め、熱、水、音、振動をシャットアウト。エプトシーラーは、汎用ゴムの中で最も耐久性にすぐれたEPDMゴム発泡体に、独自の粘着技術を組み合わせて開発した高機能シーリング材です。
耐熱性・耐薬品性にもすぐれ、長期にわたって安定した効果を発揮します。
難熱性タイプ、軟質タイプ、高発泡タイプなど、用途に応じて使い分けのできる豊富なラインアップを用意しました。
エプトシーラーのすぐれた性能は国内外の多くの業界で認められ、自動車、住宅、家電など多彩な分野で使用されています。
遮音の効果だけでなく熱をさえぎる効果や難燃性であり、EPDMゴム発泡体は電気絶縁性もあるようです。
片面全面には粘着の両面テープがついていて、軽くて柔らかくはさみで切れやすくて、今回の工作には使いやすく安全性も高いのではないかと考えて選びました
エプトシーラーを貼ってみましょう
本体の外側に貼っていくのが簡単ですが黒い素材でおおわれると見栄えが良くないですね。
メーカー保証も受けられなくなり自己責任での実験になりますが、禁断の扉をあけることにしました。
本体前後の白いカバーを外して内側に貼る事にしました。
内部の爪の形状や位置、カバーのネジの位置などわからなくて苦労しましたが、少しずつ慎重に知らべてなんとか壊すこともなく、無事カバーが開きました。
カバーの形に合わせてエプトシーラーをハサミでカットします。
茶色の紙をはがすと粘着面が出てきます。
当初は写真のようにカバーギリギリまで貼っていましたが、周りのフチの部分にに貼り付けてしまうと、エプトシーラーの厚みが邪魔して本体とぴったり合いません。
1センチくらい内側に貼り直しました。・・・周りを切るのも面倒なので周りを少しはがして内側に寄せるように貼り付け直しです。
粘着テープ同士がくっつかないように注意は必要ですが、柔らかいスポンジのような素材なので形に合わせて貼りやすく貼り直しも可能です。
爪の部分他の突起物の所はハサミで切り込みを入れて形を合わせて貼るようにしました。
本体内部も送風機の周りやコンプレッサー付近などにエプトシーラーを貼ってみました。
中の配線がむき出しでプラスチック本体や熱交換器に直接触れているところが何か所かありました。
車の振動でこすれて配線が傷ついたり、ビビリ音の発生源にならないように、エプトシーラーを配線に巻くようについでに貼っておきました。
しゃ熱後の本体のサーモグラフです
カバーを閉めてサーモカメラで試験してみます。
エプトシーラーの厚みが影響してカバーが取付にくくなりましたが、なんとか押さえてネジ止めまでして外観的には元通りに復旧です。
いつものようにスツールの上に細口ダクトエンドを置いて付属のジャバラダクトを接続です。
室温26℃で冷房設定17℃弱風で20分ほど運転してサーモカメラで見てみます。
細口ダクトエンドの排気箇所で38.4℃の温度が排気されています。
熱交換器を通過した空気の温度相当になります。
右下のコンプレッサが設置されている箇所はもともとあまり高温にならないためか、エプトシーラーの効果なのか、あまり温度が上昇していません。
付属ジャバラダクトの温度計測値が高いところで39.3℃と細口ダクトエンドの排気温度と同等です。
この時本体の熱交換器部あたりは34.1℃でエプトシーラーを貼りつける前の本体温度が35.9℃に対してわずかな効果でした(^^;
もっと断熱性が高いものと期待していた素材でしたが、ゴム気泡の厚み10ミリの中の空気が暖められると熱が反対側に伝わるようです。
遮熱と断熱の違いを検索して理解しました(^^;
熱風をあてるうちに反対側が暖まってくるはずです。対応するには厚みを増やすしかなさそうですね。
遮熱と断熱はそれぞれの役割が異なります。
断熱材は「熱の伝わるスピードを遅くする」材料となっており、
遮熱材は「熱(輻射熱)を反射させて跳ね返す」材料です。
反対側の冷風吹き出し側からも見てみましょう。
上側の裏は中のパーツがありスペースが狭くてエプトシーラーは貼っていませんので熱も上部から発散されるようです。
冷風吹き出し口で15.3℃ 熱交換器の上部で31・4℃となっています。
別角度から見たときにはときには上部の熱い箇所は35℃に温度上昇しています。
本気で熱をさえぎる効果を求めるには、見栄えは落ちますが外側からエプトシーラーを何枚も貼る方が良いかもしれませんね。
※カメラの色の範囲指定の変更により同じ温度でも別の色になっている場合もあります。測定ポイントのズレなどにより表示温度には誤差が生じますので目安として参考にしてください。
騒音対策の工夫
エプトシーラーはデッドニングにも使われる素材ですので、熱をさえぎる効果とともに騒音対策にもなると期待していました。
遮音シートとしてカバー全面に貼り付けて騒音測定器アプリでも調べてみました。
測定する騒音値が結構ばらつくので概ねの値を参考に書きます。
試験条件
室温26℃ 冷房運転 風量弱 温度設定17℃ 首振り停止
運転する前の静かな室内の暗騒音値 33dB
エプトシーラー貼付前後の騒音値
※前側の数値が貼付前、( )内の数値が貼付後
細口ダクトエンドから1mの所 50dB(50dB)
細口ダクトエンド付近 70dB(70dB)
冷風口付近 70dB(70dB)
熱風用給気口付近 65dB(65dB)
冷風用給気口付近 60dB(60dB)
コンプレッサー付近 65dB(65dB)
測定した値から本体内部のカバーに貼ったエプトシーラーによる効果は認めらない結果になりました(^^;
この結果から騒音の主な原因がコンプレッサーなどではなく、送風機の回る音や送風機による風の音、冷気や排気などについているスリット部材による風切音だと推測できます。
CLECOOLⅢの騒音対策をするには熱風や冷風の給気口などに消音ボックスを取り付けるなどの方法が効果があると思います。
そのためにスペースが大きくなり狭い車の中では邪魔になってしまいますので、悩ましい課題が残ってしまいました。
比較的簡単な解決方法は耳栓で対応するしかないかもしれませんね。
除湿された水
CLECOOLⅢはノンドレン方式で冷房時に除湿された水は熱交換器の熱で蒸発させて排風と一緒に車外に排出される仕組みのようです。
今回の実験でも冷房運転したあとに電源を切り本体を横に倒すと蒸発しきっていない生温かい水がこぼれてきました。
どこに水がたまっているのかカバーを開けた時に見てみましたがよくわかりません。
車の中で毎日のようにこぼれるようでは困るので気になるところですね。
標準ホースは折れ曲がり部が元に戻らないため、内径13ミリ外形21ミリのシリコンチューブを手に入れました。
早速本体のゴム栓を取り外しシリコンチューブをつけて30分ほど冷房運転で30CCほど湿気が排出されました。
ホースの外形もペットボトルにぴったりなので、実際の車中泊で試してみたいと思います。
チューブをつけたまま横にしてみましたが、何滴かは水がこぼれましたが、以前のように床が濡れることは無くなりました。
しくじりポイント
・エプトシーラーがもっと熱をさえぎる効果が高い素材かと期待していましたが、高断熱材とは言えないかなと思います。なかなか良い素材をみつけるのは大変ですね。
まとめ
期待していたエプトシーラーはまあまあな?結果でしたね。
測定してみるとなかなか期待通りの効果が出ないものですね。
この程度までとしておき実際に車中泊で使ってみて、何を工夫するか考えることにしましょう(笑)
冷たい風が出る冷風機を車の中で使えるだけでもありがたいと思わないといけないですね。
みなさん 梅雨もそろそろでムシムシ暑くなる季節も近いですね。車中泊をされる方は、夏を快適に過ごしたいのは共通の課題かもしれませんね。
次こそは冷風機CLECOOLⅢの排熱ダクトの断熱対策を完結する記事を書きたいですね(^^;
この後、CLECOOLⅢは軽キャンパーには載せるスペースが大きく、カンゲキくんを使うことにしましたが、実際にRVパークの外部電源で使ってみたことを以下の記事の中に書いていますので参考にしてください。
(排熱ダクトの断熱処理はせずに使っています)
※今回の工夫は自己責任で行っているものです。
取扱説明書の警告に「改造は絶対にしない。また修理技術者以外の人は、絶対に分解したり、周知・改造を行わない。」と書かれています。
難燃性の素材を使っていますが、火災や感電やけがの原因にならないとも断言しかねます。
実験記事としてご紹介しましたが、特に本体のカバーを開けることでメーカー保証は受けられなくなります。
みなさんはくれぐれもご注意ください。